サブウーファー:基本

ホームシアターの主役とも言えるのがサブウーファー(以下「SBW」)。映画製作で使われるLFE(Low Frequency Effects)=重低音効果音を担う。アクション映画の「迫力」は30hz-45hz付近の重低音が必須。クラスDアンプなどの進化で音質・機能ともに向上している。ブランドも豊富だが、残念ながら日本での展開は少ない。

アメリカで代表的なブランドはこちら: SVSRELJTRPSARythmikHsuMonolith。サイトは英文だが、是非見ていただきたい。まず、機種が多い、スペックがはっきりと明記されており、かなり充実している。これだけ種類がある中、日本には一切ないのは筆者にとって謎である。韓国、中国、シンガポール、タイ、カンボジア、マレーシアなど、他のアジアの諸外国の殆どでは販売網がある。ここは何とかしたい。こうしたメーカーから直接購入も可能だが、リスクもある:事前視聴出来ない、保証はあるが返送料は購入者負担、PSE承認が無いので中古販売は違法となる。そんな中、筆者はSVSを購入した大変満足している。

タイプ

主に2種類ある:密閉型、バスレフ型。後者はオーディオ愛好家の間では評判が悪い。恐らく15~20年前の機材をイメージされているかと思われる。筆者も聞いたことあるが、印象が悪いのは当然。しかし、米国ユーザーの共通意見としてアンプやドライバーの進化で密閉型・バスレフ型ともに音質の向上は明らか。密閉型はその名の通り、密閉された箱の中にドライバーとアンプ(内蔵型の場合)が入っており、バスレフ型はポートと呼ばれる空洞がついている。昔は「密閉型は音楽向け」「バスレフ型はシアター向け」と言われたようだが、今は関係ない。バスレフ型は「スピードが遅い」とか、色々なデマがネット上で展開されているが、別投稿でデマ、現実、と原理を整理する。実際、バスレフ型を低音を発生させる効率が高く、クラスDアンプ技術の向上で音楽でも広く使われているのが実情である。パイプオルガン音楽をバスレフ型が良いという意見をネット上でよく見る。最終的には好みの問題だが、傾向としてバスレフ型は箱が大きいため場所をとる、全般的に高価、大きい空間向け。

DIY

アメリカはDIY派が多いのは有名だが、SBWもDIY用のセット売りが展開されており、好きなアンプ、ドライバーなどを選んで「マイ・サブウーファー」を作れる。当然、メーカー品よりも格安で自分好みの規格で構成できるなど、メリットは多い。反面、よく見ると箱のサイズかなり大きめで、一般的な日本の住宅事情には向かない。

ドライバー

大きなドライバーは面積が大きい分、空気を効率良く動かせるため、より低い音域に対して余裕が生まれる。問題は箱が大きくなる(当然)。あまり大きな部屋でなければ12インチでも充分迫力ある重低音を楽しめる。ちなみに筆者は現在SVS社のSB1000 Proを使用中、最も低価格の密閉型12インチ(小型)である。早く日本市場が重低音のガラパゴス化から脱却して、色々なブランドを視聴できる日を夢見る…。

音楽鑑賞

ホームシアターではサブウーファーは必須だが、音楽鑑賞でもサブウーファーは充分活用出来る。もちろん、メインスピーカーの性能にもよるが、メリットとして:①パワーアンプの負担を軽減できる→低音域はサブウーファーの内臓アンプが負担するため、②3-wayスピーカーなどのウーファーは当然同じ箱にあるため設置場所が固定されてしまうが、サブウーファーは理想の位置に設置できる。音楽は映画のような20hz近辺の重低音は不要なので(一部のパイプオルガン音楽を除く)、メインスピーカーのウーファーで対応できる場合があるが、コストパフォーマンスで言うとやはりサブウーファーが有利と言えるでしょう。

デマ、現実、理屈

「低音は指向性が無いため、サブウーファーはどこに置いても大丈夫」
アメリカの専門サイトを見ても、前方にSBWを2本設置している画像が多い。部屋のあらゆる場所を試した結果前方に設置したのならわかるが、恐らくそのようなことはしていない。Room Modeで説明した現象は音源の位置に依存するため、SBWの位置は大変重要である(スピーカーとは理由が違うけど位置は重要)。向きを変えるだけでも音源の位置が変わるため、Modeの動向が変わる(現実)。

「大きいドライバーはスピードが遅い」
某米国メーカーからこのような意見が配信されたが、O’toole先生含め、アメリカの専門家(メーカー、評論家)は共通してこれを真っ向から否定している。そもそも「スピード」とは何でしょう?音速は当然変わらないし、機材側で考えられるのは:①アンプから信号を受けた時から音を再生するまでの時間、②音の変化(強弱や音程)の対応。まず①に関して…各ドライバーのメーカーは商品のThiel & Small Parameterという17項目のスペックを公開している(SBWメーカーは公開していない)。代表的な項目としてfs(Resonance Frequency、f0)、Qts(ダンピングファクター)、Vas(サスペンションの抵抗)、Re(Voice Coil部分のΩ値)などがあるが、信号を受けた時から再生までかかる時間に関する項目は一つもない。機材による音の遅延より、部屋の影響を受けて起きる遅延の方がよほど大きいと思われる(理屈)。②のレスポンスは英語で「Transcient Response」と呼ばれ、Waterfall型の測定で数値が明らかになる。この数値が遅いのはドライバーの大きさとは直接関係なく、小さなドライバーでも数値が悪い、大きなドライバーでも数値が良い…など様々である。SBW(重低音)に限って言えば、部屋の影響を無視して機材による音やドライバーの「スピード」を議論するのは無意味と考える(理屈)。余談だが、大浴場で管楽器を吹くと、音色もへったくりも無くなる(現実)。

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