建直しを決断したのは2020年の夏で、既に3年半以上経過、竣工は2024年末予定。意図したわけではないが、普通よりかなり長い年月をかけて情報収集。特にアメリカのYoutube、SNS、ウエブサイトなどでのユーザー同士のつながりが強い。問題として:①デマも多い、②専門家同士の意見が噛合わない、③営業目的の情報が多い。ここでの投稿はあくまでも筆者の見解としてご理解いただきたい。特に音響に関する意見は主観的な要素が多いことから(従って上記問題が発生しやすい)、最終的には読者のご判断で有効活用願いたい。
父の設計で旧宅は1973年に竣工、延べ面積は33坪(109㎡)。特徴として:①巨大な吹抜けリビング空間、②屋内ガーデン、③屋内外を彩る木材。父は建築と造園を兼ねたデザイナーで、そのため屋内の庭に加えて観葉植物を豊富に揃えた。こちらにインタビュー、画像はこちらを参照。
母は2019年、父は2020年に他界、その後筆者が相続。素晴らしい家だったが、建直しの要因は:①次の大地震には耐えられない、②建築基準変更に伴い、リフォームはほぼ不可、③気密性、断熱性能が弱い、設備関連などが古い。経験・知識が無い中、勇敢に計画をスタートする。旧宅と同じコンセプトを保ちつつ、最新の部材・設備を導入。両親が天国から見ても旧宅と勘違いするような家を目指す。
理想の家を建てるには理想のハウスメーカー・工務店と契約するのが最重要点。しかし、そんな業者に出会うのは至難の業、粘り強く追い求めるしかない。伊豆高原にある木工房さんの名言:「良い工務店は良い関連業者を引寄せる」。逆もしかりで、ダメな工務店はダメな関連業者を呼込む。一般的に新築を建てることは人生で1回のみだが、筆者は失敗したおかげで良い業者と悪い業者の両方を経験することとなる。
悪質な工務店の話しはネット上でたくさんあるが、やはり金銭的なトラブルが多い。筆者の「失敗」も最終的には予算だったが、他にも:①関連業者の失態、②要望を放置、③予算・工程管理の欠落などが挙げられる。自分が設定した基準を犠牲にして、焦りから時間を優先するのは禁物。
最初の工務店に約1年半振り回された後にようやく縁を切り、過去の労力は捨ててゼロからの再スタートとなる。当たり前の話だが、業者選びは第三者からの意見は不要とし、家族内で決める。そして良い工務店が見つかり、旧宅に近いプランが出来上がった。筆者のやや乱暴な発想も快く引受けてもらい、感謝あるのみ。何社か関連業者も作業を完了しており、前回と明らかに違って「プロフェショナル」な印象:手際が良い、早い、きちんとしている…まさしく工房の名言通り。
オール電化、太陽光発電、エコキュート、V2Hなど…最新の機器を導入するが、省エネはやはり住む人のマインドセットや日常生活が原点になる。カーボンニュートラルに対する高い意識を持ち、小さなことも検証する(例:コンポスト、雨水タンク)。生活のクオリティーを犠牲にせず、省エネを図るためのオートメーション技術を駆使する。詳細はブログに記載するとして、利便性だけを追求するのは勿体ない。
スマートホーム化は:①ソフト(制御)と②ハード(機器)で成立つ。
制御:アメリカで主流となっている「Home Assistant」を導入。こちらはオープンソースのシステムで、流行りのNode-RedやMQTTなども増設可能。国内ユーザーのネット情報も増えている。日本製家電の連携(Echonet Lite)が未だ出来ないが、今後の展開に期待したい。
ハード:各メーカー(特に中国製)が早いペースでスマートホーム系新商品を展開しているが、国内での販売はかなり限定的。やはり日本でのオートメーション需要がまだ小さいのが要因か。海外限定品はAmazon.com(アメリカ)などから直接購入するしかない。
新居で最も充実させたいのがキッチンとホームシアター。前者はキッチンメーカーに任せるとして、後者は現在住んでいる狭いアパートに5本のスピーカーとサブウーファー1台で試行錯誤中。新たな発見が多く、アメリカの情報量が国内とは比較にならない。最も参考となったのがカナダ国立音響学研究所、Harman Internationalなどで研究されていたFloyd Toole先生の書籍「Sound Reproduction」という本である(英文のみ)。こちらをある程度理解できるとネット上の有効な情報とデマの区別が判別しやすくなる。
オートメーション同様、音響測定や低音管理の優れたオープンソースソフトが豊富にある。是非、国内のご家庭でも活用して欲しい。無料だから良いのではなく、非営利目的で多数の技術者が開発するため、余計な制限もなく、あらゆる観点から使いやすさを考慮している。
内藤久方:1965年(昭和40年)生まれ、アメリカHotchkiss高校卒、国際基督教大学卒、Buffet Crampon(楽器メーカー)、Nokia Networks、Amazon Japanで調達部門(Procurement)として在職。趣味:サックス。