新築失敗

ダメな工務店

工務店探しを開始したのは父の相続手続きが完了した2020年秋頃。当時、新型コロナウイルス感染症の最中で、感染者数や死亡者数が毎日公表され、社会全体がワクチン開発の進捗を見守りながら外出を控える状況。この中で工務店を探すのは極めて困難。最初は主に世田谷区や杉並区などの地域を中心にインターネットで検索し、多くの工務店に直接連絡を取り、相談を重ねた。旧宅の写真を見せながら「これと同じような家を建てたい」…から相談を始めるが、この時点で約4割ぐらいの担当者は諦め顔となる。それでも2社からは提案と概算見積もりをもらえた。当時はウッドショックもあり、その懸念から見積もりは2社とも高く、加えてデザインもやはり旧宅のようにはいかない。やはり人生最大の財産を託すパートナーを決めるのはそう簡単ではない。

ある日、父の建築家仲間と再会し、工務店を探している苦労を打ち明けたところ、手助けを申し出てくれた。感謝の念を抱きながら、デザインを含む様々な相談に乗ってもらう。その後、関係のある2つの工務店を紹介してもらい、提案と概算見積もりを受領し、その中から1社を選んだ。これが悪夢の始まりとなるとは、当時は想像も出来なかった。

 

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始まりは良好で、竣工までの工程表を受け取り、仮契約金を支払い、古い家の整理を終え、家族全員で「10カ月の辛抱」と信じて残った荷物を現在の狭いアパートに移動する。(詐欺は必ず「最初は良好」)

失態は書ききれないほどあるが、代表的なのが「松の木」事件。解体業者には庭にある木の中で①松の木と②サルスベリの2本は絶対傷つけないよう依頼。割高の見積もりが来て、「手作業で行うため人数を必要とする」との説明を受け、しかたなく合意。しかし、初日から重機が運ばれ、案の定松の木は破壊された(白で囲った部分)。見積もりだけ高く上げて安い手法で失敗する、もはや詐欺。この時点で工務店との関係を断絶しなかったことは一生悔やまれる。この間、工程は1か月遅れており、次の工程(基礎工事?)を開始するかと思いきや…ここから設計作業が始まる。設計士さんも旧宅の吹抜けが木造では作れないと言い出し…プロジェクトが完全に止まる。平たく言えば、計画も無いまま解体が行われ、ついでに最も大事な木も破壊して、そして「作れない」という始末。この段階で業者を変更し、再度計画を立て直すべきだったが、父の友人のご紹介という事情もあり、そのまま継続。その友人(建築家)のサポートにより設計図がとりあえず出来た。

その後、2022年5月からデザインの打合せを約10か月間続けた。今回失敗の決定打は予算管理の不備で、追加した設備や部材に関する増額の概算見積もりが2022年9月に初めて提出されたが、その後は毎回打ち合わせで見積もりの更新をお願いするも、進展は全く無い。闇雲の中で進める計画は2023年2月(2カ月遅れ)に最終見積もり金額が提示され、2022年9月の概算から35%の増額。よほどの金持ちと相手から見られたのは光栄だが、無いものは無い。「無理です」と一言でプランは終了となる。不毛な労力・時間とはまさにこのことか。まるで悪徳飲酒店(ボッタクリ飲み屋)が最後まで金額を提示せず、状況を見ながらとどめの請求書を提示。頼んでいたV2Hがシャンパンタワーを連想する。更に何も仕事をしなかった担当者の労務費などの不当な請求が来ており、現在弁護士さんと提訴への準備中。

 

今回の主な敗因は以下の通りです:

1) 建築の専門家であっても、100%信じてはいけません。今回業者を紹介した知人は悪気は全くなく、むしろ困っていた我々を助けようとしていたが、工務店がここまで酷かったのは想定外だった。いずれにせよ、家族で探し、家族だけで決断するのが重要。

2) 工務店を紹介されたとき、ウエブサイトもなく、どのような家を建てているかが全く分からず、ただ父の友人を信じるのみ。工務店の家に対する哲学、建て方のスタイルなどが重要で、これがはっきりしない業者は避けた方が良い。良好な工務店はウエブサイトに自社の個性、家に対する考え、実績例などを必ず分かりやすく明記しているので、これらを判断材料とする。

3) 途中で様子が怪しい場合(約束と違う)、計画を打止めにする勇気を持つことも大事。ダメな工務店は→ダメな業者を集めて→ダメな家しか作れない。筆者はこの業者が建てた家に住むことを避けられたのが不幸中の幸いだと確信する。

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